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住宅ローンを払えない場合に届く7種類の通知書とは?
住宅ローンを滞納すると届く7つの通知書とは?
住宅ローンを滞納すると、1~3ヶ月の間に7種類の通知書が届きます。滞納の段階に応じて、債権者や裁判所から送られてくるものです。
各通知書について、種類別に解説します。
督促状
住宅ローンを滞納して2ヶ月過ぎると届く通知書が「督促状」です。
期限日までに支払いが行われていない場合に、債権者が債務者に対して、ローンの支払いを催促する目的で発行されます。滞納に対して再発行される請求書の一種とも言えるでしょう。
催促の内容は、初期の段階では入金を促すまでに留まります。しかし、滞納を繰り返すことで法的手段についての言及が入ることもあり、厳しい内容に変わっていきます。
催促状が届いたら、必ず開封して内容を確認してください。無視を続ければ「差し押さえ」といった強硬手段が取られることもあるので、注意が必要です。
催告書
督促状を無視し続けると、次は「催告書」が届きます。基本的な内容は督促状と同じですが、意味合いはより深刻です。法的手段へ移行することを前提とした「最終的な通知」となります。
催告書は、金融機関からの最終通告でもあります。督促状と同様に、催告書に記載された返済期限を守れなかった場合、債務者は住宅ローンの分割支払いの権利を失うことに。家の競売に向けて、手続きが進められると認識しておきましょう。
一般的に催告書が届くのは、債権者である金融機関から何度か連絡が来た後になります。通知が届いた場合、まずは金融機関に相談することが重要です。
期限の利益喪失通知書
住宅ローンを滞納後、3ヶ月ほど経つと「期限の利益喪失通知書」が届きます。
「期限の利益」とは、住宅ローンを分割返済する権利のことです。つまり、住宅ローンの残額を一括返済しなければならない、という事態を意味します。
注意しなければならないのは「期限の利益喪失通知書」が届いた時点で、既に権利を喪失しているという点です。通知書に記載された期限までに残債を一括返済するか、それができなければ、残債は金融機関から保証会社に一括請求されます。
代位弁済通知書
「期限の利益喪失通知書」が届いた後に、住宅ローンの残債を一括返済できなかった場合に届く通知書が「代位弁済通知書」です。
債務者に代わって、保証会社が金融機関に一括で残積を支払います。したがって、今度は保証会社から立替分の一括支払いを催促される段階です。
代位弁済通知書が届いた時点で、家の競売まで猶予がほとんどありません。早急に「任意売却」などの手を打たなければ、保証会社から裁判所に競売の申し立てが行われます。
競売開始決定通知書
裁判所が家の競売を受理すると、債務者の元に「競売開始決定通知書」が届きます。通知書が届いた時点で、家は差し押さえの対象です。任意売却を行うこともかなり厳しい状況となります。
競売の手続きがまもなく開始されるため、時間的な猶予はほとんどありません。任意売却を行い、競売の取り下げを求める場合は、関係各所への一刻も早い相談が必要です。
現況調査通知
競売開始決定通知書が届いて1ヶ月ほどすると、裁判所から「現況調査通知」が届きます。競売にかけられた家の売却基準価額を決定するために、執行官が調査に来る日程を知らせる内容です。
当然ながら、裁判所の執行官による調査を拒否することはできません。強制的に開錠されて、物件の状態について聞き取りが行われます。写真撮影や周辺住民に対する聞き込みも行われるでしょう。
期間入札開始決定通知
競売が始まったことを知らせる「期間入札開始決定通知」には、物件の入札期間と開札日が記載されています。入札が開始されると、競売の取り下げはほぼ不可能です。
入札の最終日までに落札者が決定して、所有権の移転手続きが行われます。まだ家に住んでいる場合は、強制的に立ち退きを迫られるでしょう。
家の競売を避けるためにできることは?
住宅ローンの返済が滞った時に、家の競売を避ける方法はあるのでしょうか。支払い能力がある場合は、まず返済の意思を示すことが重要です。
返済スケジュールの見直し
住宅ローンを組んだ当初の毎月の返済額や返済期間、ボーナス払いの金額について、債権者と改めて交渉を行いましょう。
交渉が整えば、返済期間の延長をはじめとした、住宅ローンの完済に向けた仕切り直しができます。
ただし、期間延長や毎月の返済額を減らす交渉では、返済総額は増加する場合がほとんどです。増額分も含めて、確実に返済できる計画を組み直すことが重要となります。
返済できない場合は任意売却の決断を
住宅ローンの返済が厳しい場合は、自ら家を売却する「任意売却」を検討しましょう。任意売却を行えば、競売によって売却されるよりも、より相場に近い金額で売却できる可能性があるからです。
少しでも売却額が高くなれば、その分残積を減らせます。大々的に周囲に知られることも避けられるでしょう。自己破産を申請する場合にも有利です。
家の任意売却には、債権者の合意が必要になります。「代位弁済通知書」を受け取った段階から手続きが可能なので、弁護士をはじめとする専門家に相談して、任意売却を進めていきましょう。