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住宅ローン特則とは?個人再生で知っておきたいこと
ここでは個人再生を考えてらっしゃる方に有効な住宅ローン特則について解説をしています。
住宅ローン特則の制度とは
住宅ローン特則を簡単に説明すると、この特則によって住宅ローンを除いた借金を個人再生によって減額できるという制度です。つまり住宅ローンについては支払いが続き、自宅は処分されずに済みます。
住宅ローン特則は、一般的には住宅資金特別条項と呼ばれているもの。借金の返済は難しいけど住宅は残したい、という方にとってはメリットが大きい制度です。利用者は多く、個人再生をした人のうち約4割程度※の方が住宅ローン特則を利用しています。
※参照元/日本弁護士連合会消費者問題対策委員会:【PDF】「2014年破産事件および個人再生事件記録調査」住宅ローン特則は公的に認められている制度
「マイホームに住み続けられる」と聞くと、裏技のように思えるかもしれません。
自己破産や個人再生では、特定の金融機関といった特定の債権者への優先的な借金の返済は禁止されています。そのため他の借金を減額して住宅ローンは返済するという住宅ローン特則は、この禁止事項に抵触するのではないか、と考える方もいるでしょう。
しかしそこには、住宅ローンならではの住宅ローン特則が認められている理由があるのです。
住宅ローンの支払いは生活を維持するために必要
住宅ローンは、毎月の家賃に近い支払いです。生活の維持に必要な支払いなので住宅ローンの支払いに不当性は無いと考えられています。
もう少し解釈を変えると、確かに住宅ローンというものは借金ではあるものの、その実態は毎月支払っている家賃に近いと言えます。つまり住宅ローンは、他の借金よりも優先して返済を行う正当性があるのです。
抵当権と被担保債権
住宅ローン特則が認められているもう一つの理由として、抵当権と被担保債権が挙げられます。
抵当権とは住宅ローンを組む時に返済が滞ってしまった場合に備えて、購入する土地と建物を担保とする権利のことです。抵当権が設定されている不動産に関しては、他の債権者よりも優先して弁済を受けられます。
そのため抵当権が発生している以上、住宅ローンの金融機関は優先して支払を受けることになります。抵当権が設定されている債権、住宅ローンのことを被担保債権と呼びます。
言い換えれば、住宅ローンの返済が進めば進むほど被担保債権額が減り、債務者の財産は増えることになります。財産が増えれば、債務者にとっても利益になる確率が高くなるのです。
仮に住宅ローンを免除された場合は、財産は減り回収できなくなる借金が増える可能性もあります。これは債権者にとってデメリット以外の何者でもありません。
つまり、住宅ローン特則というのはマイホームを持ち債務整理したい人にとって、メリットがある制度なのです。
住宅ローン特則の利用における連帯保証人への影響
住宅ローン特則を利用した場合は住宅ローンの支払いは続いていくため連帯保証人への影響はありません。
これは民事再生法第177条2項にも規定があります。住宅ローンを組んでいる場合、一般的には連帯保証人を立てるものです。そしてその連帯保証人というのは、多くの場合あなたにとって大切な人。そんな連帯保証人に対して迷惑になることはできるだけ避けたいと考えるでしょう。
自己破産の手段を取る場合は、すべての返済は連帯保証人が請け負うことになります。その点、住宅ローン特則を利用すれば連帯保証人に迷惑をかけずに済むでしょう。
ただし注意点があります。住宅ローン特則が認可された場合、取り決めがされた再生計画通りに返済を進めていくことになります。
万が一その返済計画通りに進んで行かない場合、民事再生法203条により、再生計画について規定した第177条2項が適用されなくなります。そのため連帯保証人へ迷惑をかけないためには、再生計画に則った返済を続けていく必要があります。
住宅ローン特則の利用条件
住宅ローン特則は無条件で活用できるものではありません。ここでは住宅ローン特則の利用条件について解説します。
自分の「住宅」であること
住宅ローン特則を利用するには、住宅資金貸付債権であることが条件です。
これは、該当する借入金が住宅の購入やリフォームのためのローンでなくてはいけないということです。
また、本人が居住する目的の住宅という条件もあります。つまり、投資用の不動産や別荘のような生活拠点としていない建物の場合は、該当しません。自宅と事務所を併用するという場合は、床面積の1/2以上が自宅として使用されていることが条件です。
債権者一覧表への記載
これは個人再生申し立ての際に行います。債権者一覧表へ「住宅ローン特則の対象としようとしている債権が住宅資金貸付債権である旨」と「住宅ローン特則を定めた再生計画案を提出する意思がある旨」を記載しておかなくてはいけません。
住宅ローン特則が認められないケース
住宅ローンの滞納や代位弁済から6ヶ月以上経過している場合は、住宅ローン特則が利用できなくなります。
代位弁済とは、住宅ローンの一定期間の滞納後、保証会社が債務者の代わりにローンを一括返済することです。仮に代位弁済があったとしても、6ヶ月以内に個人再生の申立てを行えば、住宅ローン特則の利用条件に当てはまります。
また自宅に住宅ローン以外の抵当権がある場合や税金の差し押さえ、そもそも個人再生の条件を満たしていない場合。このようなケースも住宅ローン特則が認められません。
加えて注意が必要なケースは、資産価値が住宅ローン残高を上回ってしまう場合です。資産価値、つまり売却の見込み金額が債務の残高よりもプラスになっていると、住宅ローン特則を利用できない場合もあります。仮にこれが適用されるとなれば、資産があるのにもかかわらず借金だけを減らすというような事態になってしまうためです。
個人再生しても住宅ローンが支払えない場合
返済計画の組み直し
まずは金融機関に相談をして住宅ローンの返済計画を組み直してもらうことです。返済計画の見直しを行い、支払い期限を延期する措置を受けられる場合もあります。
住宅ローンの乗り換え
もう一つは、より金利の低い金融機関に住宅ローンの乗り換えをする方法です。その際には手続きに手数料がかかりますが、全体で見ると支払額が少なくなる可能性があります。
住宅ローンの乗り換えプランは多くの金融機関が提供しているため、相談もしやすいでしょう。
任意売却
それでも返済が厳しければ、任意売却という方法があります。
任意売却は、住宅ローンが払えない人を救済するために作られた制度です。債権者・連帯保証人の同意を得た上で物件を売りに出し、返済に当てられます。
自宅を手放すことになってしまいますが、住宅の売却額がローン残債よりも高ければ有効な手段です。
最終手段として自己破産という方法もあり、マイホームを含めて一定の財産を手放すことになります。借金を免除できますがデメリットが大きいので、そのことを踏まえて検討する必要があるでしょう。
サイト監修

東京スカイ法律事務所田中 健太郎弁護士
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平成18年司法試験合格。平成20年から弁護士として大手弁護士法人に勤務し、平成23年9月東京スカイ法律事務所を設立。司法書士、宅地建物取引士の試験にも合格している不動産案件のエキスパート。不動産会社と提携し、任意売却に関する手続きをワンストップで対応しています。