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住宅ローンの抵当権とは
住宅ローンを借り入れるのであれば、絶対に知っておかなければいけないのが「抵当権」。ここでは抵当権とはなにかの基礎知識をはじめ、抵当権の行使による影響やリスクについて解説します。
抵当権とはなにか?
抵当権とは、金融機関から住宅ローンを借り入れる際に、購入した不動産に設定される権利のこと。抵当権が設定される理由としては、住宅ローンの滞納により不動産が競売にかけられた場合、抵当権を設定している金融機関が優先的に返済を受けられるようにするためです。抵当権には順位があり、先に設定されている抵当権者から優先的に返済を受けられます。
抵当権が行使されるとどうなる?
住宅ローンの滞納で抵当権が行使された場合、抵当権を設定された不動産が競売にかけられます。そして、落札金額から融資したローンの金額を回収するというわけです。金融機関が抵当権を行使するには、裁判所に抵当権の実行の申し立てを行なわなければいけません。その後、競売開始が決まった時点で不動産が差し押さえられ、競売が実施されます。
不動産の競売により得た落札価格は、すべてローンの支払いにあてられます。ここで、注意したいのが落札価格がローンの返済額よりも少ない場合。競売でローンを全額返済できるお金を回収できなかった場合は、ローンを借りた債務者が残りのローンを引き続き支払わなければいけません。
不動産が競売されるデメリット
抵当権の行使により不動産が競売にかけられると落札価格からローンを返済できるものの、デメリットもあることを知っておく必要があります。不動産の競売により考えられるデメリットは次の通りです。
- 一般的な相場価格の3~8割程度の価格でしか売れない場合がある
- 不動産の差し押さえにより、強制退去となる
- 引っ越し費用は自分で用意しなければならない
- 物件情報が公表されることで、近所や職場に知られるリスクがある
このように、住宅ローンが払えないからと問題の解決を後回しにしてしまうと、不動産の差し押さえや競売によるリスクまで背負わなければいけなくなります。そのため、1人で悩まず、法律事務所や金融機関など債務に詳しい専門家に早めに相談するのが問題解決の近道です。
抵当権が認定された住宅も任意売却できる?
住宅ローン支払うのが難しい状況で任意売却するには抵当権者(債権者)の同意を得て、抵当権を抹消してからの任意売却が必要です。
一般的に住宅を購入する際には、金融機関から住宅ローンの借り入れでケースがほとんどです。
お金を貸している側のことを債権者と呼びますが、債権者は債務者(借りる人)の返済が困難になるリスクを減らすために、自宅を担保に設定します。
住宅を担保にすると債権者が「抵当権者」となり、ローン返済が滞った場合に、不動産を差し押さえ競売にかけて債務を回収する権利があります。
厳密に言うならば、抵当権が設定されたままでも不動産を売却すること自体は可能ですが、抵当権者から競売の申し入れがある可能性があるため一般的ではありません。そのため抵当権を抹消してからの任意売却が必要です。
抵当権を抹消する方法
住宅ローンを完済している場合では抵当権は実際の権利を有しているわけではないため、大きな問題とはなりません。しかし住宅ローンの返済が難しい状態では、抵当権の抹消のための交渉が必要です。
繰り上げ返済も難しいのであれば、売買代金を残債に充当してローンを完済してから、抵当権を抹消できるように交渉しなければいけないからです。また債権者が複数の場合には、すべての債権者の同意が求められます。
複数の抵当権を持つ債権者がいる場合は、順位が定められており担保解除料の基準を目安に交渉します。
- 第2順位以下:30万円または残元金の10%のいずれか低い額
- 第3順位以下:20万円または残元金の10%のいずれか低い額
- 第4順位以下:10万円または残元金の10%のいずれか低い額
参照元:任意売却埼玉相談室(https://www.saitama-ninibaikyaku.jp/任意売却の抵当権の抹消とは?必要な書類や費用/ )
抵当権の抹消に必要な書類
抵当権の抹消に必要な書類は以下の通りです。
- 抵当権抹消登記申請書
- 登記識別情報又は登記済証
- 登記原因証明情報
- 抵当権者の委任状(委任する場合)
- 代理権限証明情報(金融機関が手続きを委任する場合)
- 金融機関の会社法人等番号
これらの書類に全ての項目を埋めて準備しておきましょう。
参照元:任意売却埼玉相談室(https://www.saitama-ninibaikyaku.jp/任意売却の抵当権の抹消とは?必要な書類や費用/ )
抵当権の抹消にかかる費用
抵当権抹消のための必要費用は、登録免許税と司法書士に支払う手数料です。さらに大冒険者が複数いるケースでは、ハンコ代とも呼ばれる担保抹消料が必要です。
一般的に抵当権の登記の抹消方法は、売主が支払うことになります。しかし任意売却の際には抵当権の登記抹消費用や後順位担保債権者の抵当権抹消応諾料は、売却代金から支払われます。
抵当権を抹消できないケースもある?
債権者が複数いる場合には下位順位の債権者が、任意売却に応じないケースがあります。すべての債権者の同意がなければ任意売却できないため、この場合には抵当権を抹消できません。
しかし考慮すべき点として競売になると、下位順位の債権者が回収できる金額はほとんどないケースが多いため、任意売却の方が抵当権の解除料を回収できます。そのため債務者が任意売却に協力しているのであれば、抵当権の抹消に応じてくれる可能性は高いです。
債権者の担保保存義務
別の点として、ローンの債権者は担保保存義務を持っていることもあります。担保にしている不動産を喪失させたり減少させたりしない様に保存する義務のことです。そのため保証人の同意がなければ抵当権を抹消することができません。
もちろん任意売却に伴う抵当権の抹消などでトラブルにならないために、保証人が担保保存義務の免責の効力を主張しないという「担保保存義務免除特約」が設定されているケースもあります。しかし権利の濫用とみなされ、効力が有効ではないと主張される可能性もあります。
トラブルにならないためにも保証人に同意を求めるケースがほとんどです。既述したように競売の場合よりも、債務を減少させることが可能なため同意を得ることは可能でしょう。
参照元:ごとう任意売却相談センター(https://www.goto-office.jp/15674190228744)