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任意売却でよくあるトラブル
住宅ローンの支払いが難しくて売却を検討する際に、視野に入れておきたいのが競売に比べて債務者側のメリットが大きい任意売却です。ただし、相談する相手を間違えてしまうと、トラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは、安心して任意売却を進めるために知っておきたいポイントについてまとめてみました。
こんな任意売却業者は要注意
任意売却の依頼を受け付けている業者のなかには、後のちトラブルにつながりかねない悪質なところもあります。業者選びをするうえで注意したいポイントは次の通りです。
任意売却申請費やコンサルティング料を要求する
任意売却業者が受け取れる報酬は仲介手数料のみで、料金の上限も宅地建物取引業法により「取引価格の3%+6万円+消費税」と定められています。仲介手数料とは別に任意売却申請費やコンサルティング料を報酬として請求することは、法律で認められていません。そのため、仲介手数料以外の報酬を要求する業者には注意が必要です。
引っ越し代を保証してくれる
不動産の売買代金から引っ越し代の控除を受けられるのは任意売却の大きなメリットですが、業者によっては依頼契約の締結を急ぐために高額な引っ越し代の保証を持ちかけるところもあります。任意売却で受けられる引っ越し代の上限は30万円と決まっており、さらに金額は債権者との交渉で決まるものなので、話し合う前から引っ越し費用の保証はありえません。
それなのに、金融機関との交渉前から上限をはるかに超えた高額な引っ越し代を提示するところは、悪質な業者の可能性があります。高額な引っ越し代につられて依頼してしまうと、トラブルに巻き込まれる恐れがあるので注意しましょう。
依頼契約を締結するとお金がもらえる
任意売却業者のなかには、依頼契約を締結するとお金をもらえるとうたっているところもあります。報酬を受け取る側が依頼者にお金を支払うという不可解な形になり、結果として締結後にお金をだまし取られた、相場の半額以下で売却されてしまったなどの被害も実際に発生。報酬を受け取る側の任意売却業者が相談者にお金を支払うといったことはないため、おいしい話だと安易に飛びつかないように気をつけましょう。
残債務についての説明がない
任意売却でよくあるのが、売却できれば住宅ローンが完済になるという誤解。不動産を任意売却できても住宅ローンの残高が売却価格を上回る場合は、残債務を支払い続けなければいけません。任意売却業者によっては「任意売却後は残債務の請求はない」と説明して、契約締結につなげようとするところもあります。残債務について知らないままだと計画的な返済が滞るため、売却後も債務が残る可能性があることをしっかりと説明してくれる業者を選びましょう。
売却できずに競売に進んでしまう
任意売却は時間との勝負です。住宅ローンの滞納から競売までには数カ月程度しか期間がなく、金融機関などの関係者と交渉をまとめることが必要です。競売前に金融機関などの承諾を得られなければ、任意売却を行うことはできません。
不動産業者は、売却手続きの経験が豊富で、短期間でも債権者などの承諾を得る交渉力を持っていることが大切です。手付金がない成功報酬体制であっても競売までに売却できなければ、再生の予定が予定通りに進みません。
トラブルを回避するためのポイント
適切な売り出し価格を設定する
金融機関は債務の回収をしたいので、売却する不動産の価格を高く設定したいと考えます。一方で、不動産の購入者は不動産を安く手に入れたいと考えます。この売り手と買い手のバランスを考慮して適切な売り出し価格を設定するのが、不動産業者です。不動産の売却に精通した不動産業者は、過去の実績と市場調査によって絶妙な売り出し価格を考え、任意売却を成功させます。
金融機関と密なコミュニケーションを取る
金融機関は、任意売却の対象である不動産の市場価格を正確に把握しています。その市場価格通りに売却でればよいですが、任意売却は時間との勝負でもあるため、市場価格通りに売却できません。売却を担当する不動産業者は、市場価格を下回る販売戦略をとる場合は、金融機関と密にコミュニケーションを取り、市場価格以下で販売する理由を伝えます。金融機関と不動産業者との信頼関係ができていれば、任意売却はスムーズにいきます。
不動産会社と信頼関係を作る
任意売却の対象不動産の売却をするのは、不動産業者です。不動産業者に住宅ローンの滞納者は、任意売却の状況や要望を伝えることも大切です。任意売却は債務整理の意味が強いため、住宅ローンの滞納者の要望よりも迅速な売却を優先します。任意売却をすすめるとき、不動産業者と信頼関係を築くのも大切です。