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病気や怪我が原因で払えなくなった
住宅ローンは完済まで健康に働き続けられる前提で組むものです。そのため、突然の病気や怪我が原因で収入が途絶えて住宅ローンを払えなくなると深刻な問題となるでしょう。しかし、病気や怪我が原因でローンが支払えない場合でも以下6つの対処法があります。
病気や怪我が原因で住宅ローンを払えなくなったら
まずやるべきこと
疾病保障付きの団体信用生命保険かどうかをチェック
病気や怪我が原因で収入が途絶えてしまった場合は、まず疾病保障付きの団体信用生命保険に加入しているかどうかをチェックしましょう。住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険に加入しているのが一般的です。その場合、加入者が死亡または高度障害になった場合に、加入者に代わって生命保険会社が住宅ローンを完済してくれます。
疾病保障付きの団体信用生命保険であれば、病気や怪我の際に生命保険会社が住宅ローンを完済、または一定期間の支払いを保障してくれます。金融機関によって疾病保障対象となる病気には違いがありますが、就業が困難となるような病気や怪我はほとんどカバーしてくれると考えていいでしょう。
労災保険を活用して収入を確保
住宅ローンが払えない問題が解消できたら労災保険を活用して収入を確保しましょう。労災保険は業務中や通勤中に病気や怪我などが生じた際に損害を補償してくれる社会保険です。労災保険が適用された場合に給付される補償には5つの種類があります。
「収入の80%が最長18ヵ月まで補償される休業補償給付」では、直近3ヵ月の平均給与日額の80%が18ヵ月まで補償されます。そのほか、「長期療養時に活用できる疾病補償年金や疾病特別支給金」「自己負担0円で医療が受けられる療養補償給付」「一定の障害が残った場合に活用できる障害補償給付」「介護が必要となった際に活用できる介護補償給付」があります。
傷病手当金を活用して収入を確保
労災保険の適用外の場合は疾病手当金を活用して収入を確保しましょう。傷病手当金は、病気や怪我によって仕事を休んだ際に収入を補償する社会保険であり、利用するには「協会けんぽ・組合健保」の健康保険に加入していることが必要となります。労災保険と比較する補償額は低くなりますが、それでも休業前の給与の約66%、最長18ヵ月の補償を受けることができます。
病気や怪我が原因で連続3日以上就業できない場合のほか、退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していること、退職時に傷病手当金の受給要件を満たしていること、失業手当を受給していないことの3つの要件を満たしていれば、退職後の継続受給も可能となります。
返済条件の変更(リスケ)をして住宅ローンの返済額を一時的に減額させる
労災保険や傷病手当金を活用しても住宅ローンを払えない場合は、「リスケ」を活用して住宅ローンの返済額を一時的に減額させることが可能な場合があります。リスケとは、金融機関と交渉することによって、一時的に返済を猶予してもらう、融資期間を延長してもらう、などのように返済条件を変更してもらうことです。
ただし、自力で住宅ローンを返済し続けられることが前提となるため、リスケ後に返済の見通しがつかない場合は活用できません。リスケは病気や怪我で収入が減っている期間のみの減額であり、一時的な資金不足の解消にしか活用できないことを理解しておきましょう。
社会保険を活用して高額な医療費等を軽減する
病気や怪我で働くことができなくなった場合、住宅ローンの返済の減額だけでなく社会保険を活用して高額な医療費等を軽減して収入を維持することも重要です。社会保険を活用して高額な医療費等の負担を軽減する4つの制度があり、活用によって医療費の支出を抑えて住宅ローンの返済に回すことが可能となります。
「高額療養費」は、どんなに高額な医療費が発生しても自己負担の上限額が決まっているため、健康保険や国民保健などで差額が支給される制度です。また、保険外診療の全額自己負担を回避できる「保険外併用療養費」や入院中の食事や訪問看護でメリットを得られる「入院時食事療養費」「訪問看護療養費」などの制度もあります。
障害を負ってしまった場合は障害年金を活用して収入を確保する
業務中や通勤中に限らず、障害を負ってしまった場合には障害年金を活用して収入を確保することもできます。病気や怪我が原因で心身に何らかの障害が残ってしまった場合は、年齢、保険への加入年数に関係なく障害年金が支給されます。健康保険に加入している場合には、障害厚生年金が別途給付されますが、全ての社会保険で障害基礎年金の受給が可能です。
障害基礎年金は1級、2級の等級がありそれぞれで給付される金額に違いがあります。障害等級1級の場合は年額約97万円の給付を受けられるだけでなく、18歳未満の子供がいる際には追加給付も可能です。
どうしても収入が確保できない場合は
任意売却も視野にいれる
病気や怪我が原因で住宅ローンが払えない状態になった場合でもいくつかの対処方法があります。しかし、それでも収入が確保できず住宅ローンを払い続けることができない場合は、任意売却を検討することをおすすめします。任意売却には、住宅を差し押さえられて競売で安く売られてしまうのではなく、自らの意思で市場価格に近い値段で売却することができるメリットがあります。
任意売却であれば裁判所が介入して現地調査を行ったり、競売情報が公になったりすることもありません。一般的な中古家屋の売却物件として扱われるため、近所に恥ずかしい思いをすることもないでしょう。苦労して手に入れたマイホームを手放すことはとても残念なことですが、家族を含め今後の人生を守るためにも任意売却を検討してみてはいかがでしょうか。
サイト監修

東京スカイ法律事務所田中 健太郎弁護士
今後の支払いが本当に厳しいと感じたら
任意売却を検討してみてください
病気や怪我が原因で仕事を休業・辞職し、住宅ローンを払えなくなってしまったという方はたくさんいらっしゃいます。社会保険などで収入を確保できたとしても、住宅ローンの支払いが減るわけではなく、生活費を圧迫してしまいます。もし、今後の収入の見込みが薄く、住宅ローンを滞納してしまいそう・現在しているという方は一度ご相談ください。東京スカイ法律事務所は、債務に関する相談を何度でも無料承ります。お気軽にお問い合わせください。