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【番外編】マンション管理費/修繕費が払えない原因と対処方法
こちらではマンション管理費が払えない状況について解説しています。マンション管理費や修繕費が払えない状況に陥ってしまうのはなぜか、どのように対処すべきかなどをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの管理費/修繕費とは
まずはマンションの住人に毎月支払いが課せられる管理費ならびに修繕費とは、そもそも何なのか?なぜ支払わなければならないのか?…という点についておさらいしていきましょう。
マンション管理費とは
言うまでもなくマンションという共同住宅には、自身の住居となる居室以外に玄関ホールや廊下、階段、エレベーターといった共用部分が存在します。そうした部分の光熱費に充てられるのが管理費なのです。
また、そうした共用部分を含め、マンソン全体の清掃や、ごみ収集、水道やガスなどのインフラなど、普段の生活に不可欠な設備を維持、管理するための各業者への支払いも管理費から捻出されます。
さらには管理員さんが常駐しているタイプの物件の場合には、その人件費も管理費が財源とそして充てられます。つまりは、マンションの住人が快適かつ安心に日々生活していくための体制を整えるために、物件のローンとは別に支払鳴分ければならない費用ということになります。
マンション修繕費とは
管理費とは別に徴収されるマンション修繕費は「修繕積立金」とも呼ばれています。マンションだけでなく、一戸建てやオフィスビルなどでも共通して言えることですが、そもそも不動産物件というものは新築のままの状態が未来永劫保たれるということはあり得ません。
築年数が経過するにつれ、さまざまな劣化や修繕を要する不具合などが発生します。そうした修繕のため、普段から積立方式で資金をプールしておくというのが修繕積立金です。
マンションの場合、10年から10数年程度のサイクルで大規模修繕が実施されるという場合が多く、そのための資金として、修繕積立金が徴収されるのです。
マンションの管理費/修繕費の滞納が起きやすいケース
昨今ではコロナ禍による失業や収入減少といった理由での管理費や修繕費を滞納してしまうという事例も増えてきています。そうした事情に加え、管理費/修繕費の滞納が起きてしまうのには、その仕組みや構造的な要因も存在しています。予防の一環として、ぜひ知識を深めておいてください。
ケース1:住人の数が少ない
言うまでもなく管理費や修繕費というものは、そのマンションの全世帯が折半して負担するものです。それゆえ、マンション全体の戸数が少ない場合や空き部屋が多い物件の場合は、1世帯あたりの負担額がより大きくなってしまうということになり、そこから支払い困難になってしまうというケースがあるのです。
そもそも管理費や修繕費というものは、管理会社がその物件に関して必要な金額を算出し世帯数で割って金額を決定します。前述のような理由で世帯数が少ない場合には、その分、割り当て金額が増えてしまうのです。
実際ある調査によれば、一般的なマンションでは管理費が月々9,000円~12,000円程度なのに対し、20戸以下のマンションでは約13,000円に跳ね上がるという結果が報告されています。
ケース2:設備メンテナンスの費用負担が大きい
ひと昔前に比べると、住宅の設備というものはどんどん進歩しています。例えばオートロックはもはや当たり前。また機械式の立体駐車場や生ゴミを処理するディスポーザー排水処理システムなどもすっかりお馴染みです。そして、そうした設備というものは、当然ながらメンテナンスや故障した場合の修理費用が嵩むということになります。
そうした設備が多いマンションであればあるほど、管理費や修繕費も比例して高額になっていきます。当然ながらそうした設備は全住人で共有するものなので、たとえ「自分の家族は使用しないから、支払いを免除してほしい」と願っても、そうはならないのが実情です。
マンションの管理費/修繕費が払えないとどうなる?
住環境や資産価値が低下
先に述べました通り、管理費や修繕費というものは、物件の住環境維持のために用いられます。滞納によってその資金が不足すると、十分な住環境が維持できなくなり、それにより物件としての評価が下がり、ひいては資産価値が低下してしまうという事態を招きます。「管理費や修繕費の滞納位大した問題ではない」という考えは厳禁です。
物件として、どんどん売れにくくなっていく
上記のような理由で資産価値が下がってしまうという要素に加え、管理費や修繕費が滞納された物件は、買い主により魅力が少ない物件となってしまいます。その理由はずばり、売主が滞納していた分の支払いは、買い主に継がれて請求されてしまうから。
それこそ買い主の立場として考えてみれば、自分が滞納した訳ではない費用分を余計に支払わなければならない物件をわざわざ買うという気には、なかなかならないというのが道理です。
競売にかけられ強制退去
管理費や修繕費の滞納が続くと、住宅ローンを滞納した場合と同じく、最終的には競売にかけられ強制的に物件を退去させられます。もちろんいきなり競売・強制退去ということはなく、督促や資産差し押さえといった過程を経ての最終手段ということになりますが、だからといってのほほんとしていればよいということはありません。速やかに適切な対応を実施すべきです。
管理費/修繕費の支払いが厳しいときの対処法
繰り返しになりますが、管理費や修繕費の滞納は、住宅ローン滞納の場合と同じく、最終的には物件の競売・強制退去を強いられるということになってしまいます。そうした事態を回避するには、そのまま放置することは厳禁。可及的速やかに、適切な対応を行うことが重要になってきます。
最優先事項は、管理会社や理事会への謝罪と事情説明
滞納を起こしてしまった場合、まずは管理会社や理事会へ誠意をもって謝罪し、滞納してしまった事情を説明することです。相手も人間ですので、そうした対応をキチンと行えば、多少なりとも態度を軟化させてくれるはずです。
その上で、現実的な経済状況を考えながら、支払い可能な返済のやり方を模索しましょう。たとえば経済状況が厳しい状況は支払いを2ヶ月ごとにしてもらい、余裕のある月は2ヶ月をまとめて払うとやり方を交渉してみましょう。繰り返しになりますが、そうしたことを認めてもらうには、誠意ある謝罪が不可欠。間違っても、放置や無視といったことは厳禁です。
どうしても支払いが困難な場合は、任意売却を検討
上記のような交渉で支払いを猶予してもらってもなお、以後の支払いが困難という場合には、物件の任意売却を検討すべきです。
任意売却であれば、市場価格に近い価格で売却ができるので、滞納金の清算もより行いやすくなります。前述しました通り、滞納金を清算しないと、買い主に滞納分が請求されトラブルとなってしまう可能性大。確実な清算処理を行いましょう。
ちなみに競売は任意売却よりも、より安価な値段で買いたたかれてしまうというのが現状。物件を売却するのであれば、競売を待つのではなく、任意売却で市場価格に近い金額での売却を目指すべきです。